掌のスプーンで 太陽の落とし物をすくう
いつからか楽しいことを
素直に楽しめなくなっていた
何処へ向かうのかとそればかり
時々 目を伏せては
眩しかったのと言い訳する
愛しすぎないようにしていた
生クリームを絞る母の横で
余ったクリームをなめる
そんな日常が好きでした
蝉の声を聞きながら
剥いてもらったびわを食べる
そんな夏休みが好きでした
思い出すのは楽しかったことばかり
いくつかあったはずの悲しい出来事は
ケーキと一緒に食べてしまった
あの家は取り壊されてもうないけれど
私の帰る場所は永遠になくならない
目を閉じればお帰りと
笑ってくれるあなたがいる